伝統的製法でクラフトウイスキーをつくる厚岸(あっけし)蒸留所とは
(公式サイトから引用:http://akkeshi-distillery.com/brand/index.html)
北海道厚岸郡厚岸町にある厚岸蒸溜所(堅展実業株式会社)は「立冬」など二十四節気シリーズのウイスキーが有名な蒸留所です。2018年2月に厚岸蒸留所の初商品「厚岸 NEW BORN FOUNDATIONS 1」を発売。熟成期間は短いものの、少し塩味とバニラのような甘い香りに加え、アルコール度数は60度と高く、より樽出し原酒に近い味わいを楽しめます。それから約半年ごとにピーテッドモルト、ミズナラ樽熟成モルト、ブレンテッドウイスキーをリリースしていき2020年2月にシングルモルトウイスキー「厚岸ウイスキー SARORUNKAMUY」を、同年10月に二十四節気シリーズ第一弾「厚岸 シングルモルトウイスキー 寒露」をリリースしました。サロルンカムイや二十四節気シリーズはその後数々の賞を受賞していき、厚岸蒸留所の代名詞となります。どのような経緯でウイスキー造りをはじめたのかご紹介します。
堅展実業が厚岸蒸留所で目指した夢
堅展実業株式会社社長である樋田恵一(といたけいいち)氏はウイスキー愛好家で、たくさんの蒸留所のウイスキーを試した中でもアイラモルトに感銘を受けたそうです。いつしか、スコットランドの伝統的製法でアイラのようなウィスキーを日本でつくりたいと夢をいだきました。
ジャパニーズウイスキーブームが訪れ、堅展実業の事業も好調だったことから株主からの理解も得られウイスキー造りに着手。蒸留所の建設地を探している中で厚岸町に出会いました。厚岸は北海道の東側、太平洋に面しており海霧が発生しやすく、町が霧に覆われていることが多いです。冷涼で湿潤な気候はアイラモルトのようなウィスキー作りには不可欠で、北海道らしい澄んだ空気、海も山も近いからこその豊富な泥炭、アイラ島のように海産物が豊富で一年中牡蠣が食べられる厚岸町でジャパニーズアイラモルトを目指しました。
蒸留所設備と環境のこだわり
2013年に国内2か所の蒸溜所から原酒を買い取り試験熟成をはじめ、2015年に蒸溜所の建設がスタート。
湿原地帯のため泥炭層の下は軟弱な地盤で、そのままでは基礎の杭を打つことができません。そこで代わりに発泡スチロールを敷き詰めて地盤を調整する「コロンブス工法」を採用しました。
2016年に蒸留を開始し、設備はスコットランドのフォーサイス社製のものを導入。フォーサイス社の職人が来日し施工しました。発酵槽はあえて温度調節ができないようにし、自然に任せてクラフトマンが発酵のタイミングを見極めています。
ジャパニーズアイラモルトを作り出すべく選んだのが、アイラ島と似たような気候や風土である厚岸町。アイラ島は海霧が発生しやすく、オーナーの樋田氏が厚岸町を訪れた際、まさにアイラ島のような海霧が発生しており、この海霧が運ぶ潮風が厚岸らしいウイスキーの風味をつくりだしています。
厚岸町の自然豊かな風土で海だけでなく広大な湿原や山にも注目しました。
アイラウイスキーと同様に泥炭(ピート)層を通った水を仕込み水に用いて熟成してます。厚岸では海も山も近いのでいろんなタイプのピートが手に入るので、つくりたいウイスキーによって使い分けることができるのです。また、厚岸町は1年を通しての気温差もウイスキー造りの楽しみのひとつ。夏は25度前後、冬はマイナス20度まで下がるので、気温差があまりないスコットランドとは違ったウイスキーが造りあげられます。まさにジャパニーズアイラモルトを目指すのにうってつけの土地なのです。
熟成樽はバーボン、シェリーに加え、入手困難な「ミズナラ」を使用。ミズナラの熟成樽はジャパニーズウイスキーならではです。
蒸留開始して1年ほどで熟成庫は満杯になり、その後1〜2年ペースで熟成庫を増やして2022年現在は4つの熟成庫があります。
2013年から始まったスコットランドの伝統製法と日本人らしいモノづくりの姿勢だからこそ、厚岸らしいジャパニーズアイラモルトが完成され世界で評価を得ています。
厚岸蒸留所のウイスキー「二十四節気」シリーズ
(公式サイトから引用:http://akkeshi-distillery.com/brand/blender.html)
厚岸蒸留所といえば二十四節気シリーズが有名です。二十四節気シリーズのウイスキーをご紹介します。
シングルモルト
シングルモルト(ウイスキー)とはひとつの蒸留所でつくられた(ここでは厚岸蒸留所)→シングル、大麦の麦芽を原料としたウイスキー→モルトウイスキーでシングルモルトウイスキーという意味になります。蒸留所の個性が出やすいので、厚岸蒸留所の風土やこだわりを味わいたい方におすすめです。厚岸蒸留所では2020年から発売されたシングルモルト、いまや種類が豊富になっていますよ。
厚岸シングルモルトジャパニーズウイスキー清明
2022年5月に発売され、瞬く間に人気のウイスキーになりました。バニラや柑橘系の甘めの香りから徐々にスパイシーな味わいになります。甘めのピートなので慣れない方も飲みやすいウイスキーです。
アルコール度数:55%
容量:700ml
[itemlink post_id="3921"]
厚岸シングルモルトジャパニーズウイスキー立冬
華やかなパッケージデザインで年末年始のおめでたい雰囲気にぴったりです。印象強めのパッケージとは違い、ウイスキーはマイルドで穏やかな味わい。黒糖のようなこっくりと濃厚な香りと味わいは、寒い日に冷えた体をゆっくり温めてくれます。
アルコール度数:55%
容量:700ml
[itemlink post_id="3922"]厚岸シングルモルトジャパニーズウイスキー芒種
焦げたようなスモーキーな香りと厚岸の潮を感じる味わいです。甘めのピートで余韻が長く、チョコレートやアイスと一緒にいただくのもおすすめです。
アルコール度数:55%
容量:700ml
[itemlink post_id="3923"]ブレンデッドウイスキー
モルトウイスキーとグレーンウイスキー(ともろこしなど穀類でつくられたウイスキー)をブレンドしたもので、大手飲料メーカーで販売されていて一般的によく飲まれているウイスキーです。ミズナラなどこだわって熟成されたウイスキーを引き立たせるグレーンウイスキーとのブレンテッドは、どのような味わいになるのか想像しながら飲んでみませんか。
厚岸ブレンデッドウイスキー大暑
柑橘系の中に潮風のような香りとスモーキーな風味が楽しめます。モルトウイスキーらしい深い味わいをグレーンウイスキーの爽快感が引き立たせていて名前の通り夏らしいウイスキーです。
アルコール度数:48%
容量:700ml
[itemlink post_id="3924"]厚岸ブレンデッドウイスキー大寒
厚岸らしいピーティーな味わいとグレーンウイスキーの甘さがふわっと抜ける味わいです。甘みの変化を余韻まで楽しんで飲みたい一杯です。
アルコール度数:48%
容量:700ml
[itemlink post_id="3927"]日本の豊かな食を楽しめる厚岸蒸留所のジャパニーズウイスキー
スコットランドの伝統製法でジャパニーズアイラモルトを作り上げていく厚岸蒸留所。二十四節気シリーズと厚岸の海産物を一緒に楽しんでみたいですね。