笹の川酒造とは
笹の川酒造は創業が1765年と250年以上続く老舗酒造メーカーで、初代・朝之丞宗友より10代目にあたる山口 哲蔵氏が代表取締役。福島県郡山市笹川という福島県のほぼ中央あたりにあり、老舗の酒造として清酒や焼酎を長く製造販売しています。笹の川酒造は「風の酒蔵」と表現しており、磐梯山(ばんだいさん)から吹き下ろす乾燥した冷風とともに酒造りをしているそう。
ウイスキーでは「YAMAZAKURA」や「安積野」が有名で世界でも評価されています。「風の酒造」笹の川酒造と、安積蒸留所の歴史やお酒造りのこだわり、人気のウイスキーを紹介します。
笹の川酒造の歴史
創業から250年以上続く笹の川酒造は酒蔵としての歴史は300年を越え、様々な酒造りをおこなってきました。現存する東北最古のウイスキーメーカーで、酒造メーカーとしては明和2年(1765年)に酒作り販売を始めました。昭和7年(1932年)山桜酒造合資会社となりました。笹の川酒造(山桜酒造)のウイスキー造りはここ数年のことのように思われるが、実は昭和21年(1946年)にウイスキー造りを始めています。戦後の米不足により難しくなった酒造りと、欧米の文化流入があいまってはじまったウイスキー造り。笹の川酒造が世に送り出したチェリーウイスキーは、ウイスキーブームだった1980年代「北のチェリー」と呼ばれるほど人気のウイスキーになったのです。しかし時が経つにつれウイスキーブームは下火になり、酒蔵の奥でウイスキーは眠ることになりました。
安積蒸留所で再出発
2015年に創業250年記念事業として蔵にスポットチルを導入、2016年に安積蒸留所でウイスキー造りを開始。元々酒造りをしていた蔵をウイスキー造りができる環境に整えました。
長いウイスキーの冬の時代「北のチェリー、東の東亜」と名を連ねた東亜酒造が2003年に蒸留所を閉鎖。その際ライバル会社であるにも関わらずウイスキー原酒の保管を引き受け、のちにこの原酒は「イチローズモルト」として、東亜酒造創業家である肥土(あくと)伊知郎氏によって商品化され世界中のマニアに愛されています。
ウイスキーブームが盛り上がりを見せ、肥土氏のウイスキー造りの情熱に感化された笹の川酒造もウイスキー造りを再始動させるべく模索しました。2016年に土蔵建築の蔵にポットスチルやマッシュタンなどの設備をいれ「安積蒸溜所」を始動。情熱とこだわりをもってウイスキー造りをしています。
漆喰壁の安積蒸留所
伝統的な土蔵建築の蔵を蒸留所にした安積蒸溜所。新しく蒸留所を建築せず、元々貯蔵庫だった蔵の一角を利用して蒸留所にしました。白い漆喰の壁にかがやくスポットチルが映えます。風の蒸留所と称している安積蒸留所は、冬に磐梯おろしという乾いた冷たい風が吹き、夏とくらべて大きな寒暖差をもたらすので、安積蒸留所のウイスキーは個性的な味わいになります。
また、安積蒸留所では樽オーナー制度があり毎年募集しており、募集後すぐに枠が埋まるそうです。ウイスキー愛好家としていつか挑戦したい制度ですね。
安積蒸溜所 ウイスキー樽オーナー募集についてはこちら
瞬く間に評価されたウイスキー「YAMAZAKURA」
2014年に笹の川酒造の蔵で眠っていた原酒が「YAMAZAKURA」として販売され、瞬く間に世界中で愛されるウイスキーとなりました。
「YAMAZAKURA」は、笹の川酒造株式会社の前身である山桜酒造合資会社の清酒ブランド「山桜」が「YAMAZAKURA」に。山桜酒造が昭和21年に製造免許を取得して売り出し「北の雄」として名を馳せたチェリーウイスキーは、「山桜」の「桜」から名前がつけられました。
時代を越え「チェリーウイスキー」から「YAMAZAKURA」と変化し、かつての社名を冠したこのウイスキーは、ピュアモルトウイスキーとブレンテッドウイスキーがつくられており、かつて人気を博した「チェリーウイスキー」より高級品として販売されています。チェリーウイスキーとYAMAZAKURA、2つの兄弟ウイスキーを飲み比べてみてはいかがでしょうか。
世界で認められたブレンテッドモルトウイスキー
2022年に「山桜 ブレンデッドモルト シェリーウッドリザーブ 安積」がワールド・ウイスキー・アワードでワールドベスト・ブレンデッドモルトウイスキーとして世界最高賞を受賞しました。1300銘柄が出展したなかでの受賞し、再び評価されている笹の川酒造のウイスキー、安積蒸留所での挑戦はまだまだ続きます。
安積蒸留所のウイスキーをご紹介
笹の川酒造の長い歴史と新たな挑戦からつくられた個性豊かなウイスキー。安積蒸留所でつくられている、それぞれウイスキーの特徴をご紹介します。
FINE BLENDED WHISKY YAMAZAKURA黒ラベル
厳選したモルトとグレーンをブレンドしたブレンテッドウイスキー。甘く香ばしい、ほのかなピート香。優しい口当たりの味わいとスッキリとした余韻が楽しめます。従来の山桜黒アベルと比べるとモルトの比率があがっており、甘みと麦の風味が強くなっています。
原材料:モルト、グレーン
アルコール分:40度
容量:700ml
[itemlink post_id="4140"]PURE MALT WHISKY YAMAZAKURA
5年以上熟成されたモルトと、シェリー樽熟成モルト、ピーテッドモルトをブレンドしたピュアモルトウイスキー。
シェリー樽由来の甘みのあるフルーティーな香りと深みのあるモルトの味わい。一口飲むとアルコールを強く感じますが、はちみつレモンのような爽やかな甘さに変わります。程よくスモーキーで滑らかな口当たりです。
原材料:モルト
アルコール分:46度
容量 :700ml
[itemlink post_id="4141"]FINE BLENDED CHERRY WHISKY EX/安積野
厳選したモルトとグレーンを使用したブレンテッドウイスキー。日本遺産である「一本の水路ブランド認証」を受けた東北唯一の地ウイスキーで、クセのない味わいとモルトとグレーンの豊かな風味を楽しめます。柑橘系のようなフルーティーな香り、ピリッとアルコールの刺激とバニラのような甘みがあり、ジャパニーズウイスキーらしい味わいが特徴。ウイスキーの中では手に取りやすい価格で、ジャパニーズウイスキー初心者でも試しやすいです。
原材料:モルトブレンデッド、グレーン
アルコール分:40度
容量:500ml
[itemlink post_id="4142"]FINE BLENDED CHERRY WHISKY
1980年代のウイスキーブームの際「北のチェリー」と呼ばれた、マニアに愛されているウイスキーです。低価格で手に入れることができるボトルで、気品のある香り、透明感のある味わいでスッキリとしつつもコクを感じるウイスキーです。北の雄と言われ、時代を牽引したウイスキーをお試しあれ。
原材料:モルトブレンデッド、グレーン
アルコール分:37度
容量:1800ml
[itemlink post_id="4143"]老舗のウイスキー造りの情熱は何十年も続く
300年続く酒造の老舗である笹の川酒造の安積蒸留所がつくるウイスキー。手に取りやすい価格のチェリーウイスキー、高価ですが手に入れる価値のあるYAMAZAKURAはどちらも違った味わいのあるジャパニーズウイスキーです。北のチェリーと呼ばれた時代の、ウイスキー造りの情熱を引き継いだ安積蒸留所はこれからも成長していきます。
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