【専門家厳選】おすすめバーボンウイスキーについてご紹介!

バーボンウイスキーとは

バーボン・ウイスキーは、アメリカのケンタッキー州を中心として造られているウイスキーの1種です。
世界の5大ウイスキーのひとつとしても有名で、略して「バーボン」と呼ばれて世界各地で愛されている酒です。
バーボンはエライジャ・クレイグ牧師によって1789年に作られ始めたというのが定説ですが、この年は合衆国憲法が発効された年でもあり、初代大統領ジョージ・ワシントンが就任した年でもあります。
つまり、バーボンの歴史はまさにアメリカ合衆国と共に歩んできた歴史と言ってもいいのです。

バーボンはbourbonと表記されますが、元はフランス語で16世紀末から中断しながらも19世紀まで続いたブルボン王朝に由来しています。

ちなみに、有名な洋菓子メーカーであるブルボンも同じスペルですが、こちらはかつてルイ13世によって名付けられたフランス領のコーヒー豆の生産地から命名していますので、言葉の出どころとしては同一です。
アメリカはイギリスと戦って独立を勝ち取りましたが、元々イギリスと対立していたフランスがアメリカに味方してくれたことに感謝し、後に第3代大統領となるトーマス・ジェファーソンがケンタッキー州の郡のひとつに「バーボン郡」という名をつけたことがバーボンという名称の元になっています。

アメリカの地名はイギリスに由来するものが多く現存していますが、フランス由来のものは少なく、バーボンのように定着して広く親しまれているものは珍しいと言っていいでしょう。

製法

アメリカで造られているウイスキーのことを総称してアメリカン・ウイスキーと言いますが、アメリカの連邦アルコール法(Federal Alcohol Administration Regulations)の中で以下のように規定されています。

「穀物を原料として発酵させ、アルコール度数95%以下で蒸溜、オークの容器で貯蔵し、アルコール度数40%以上で瓶詰めしたもの」

もちろんバーボンもアメリカン・ウイスキーに含まれるのですが、バーボンの場合は「原料となるトウモロコシが51%以上使用されていること」、「新しいホワイトオークで作られ、内側を焦がした樽で最低2年貯蔵されていること」などの条件が付加されています。
これらの条件を全て満たしたものをバーボンと呼んでいますが、厳密にはストレート・バーボン・ウイスキーと言います。

バーボンのラベルに、「KENTUCKY STRAIGHT BOURBON WHISKEY」と記載されているのは、そのためです。

樽に使われるホワイト・オークは、日本では楢の木に分類され、一般的にもオーク材と呼ばれていますが、丈夫で耐久性があるため家具や床材、船や枕木にも使われています。
オーク樽はバーボンだけでなくスコッチやワインの熟成用としても使われていますが、オーク樽の内側を焦がすことで元々白っぽいオークが褐色に変化し、熟成中にアルコールに浸出することによってあのバーボン独特の赤みのある色が生まれます。

ちなみに、樽の内側を焦がすことをchar(チャー)と言い、charを行うことをcharring(チャーリング)と言います。
なぜ樽を焦がすようになったかについては偶然の産物という意見も含めて所説ありますが、 偶然にせよ作為的にせよ、バーボンの味、色、香りといった要素に大きな影響を与えていることは否定できませんし、樽を焦がすことによってバーボンがおいしくなることも、また否定できないのです。

エライジャ・クレイグ牧師も、エヴァン・ウィリアムズも、当時はなぜ樽を焦がすとおいしくなるのか、そんな知識はおそらく持っていなかったでしょう。
しかし今ではバーボンが熟成する過程が明らかになっているため、私たちは透明の液体が褐色の液体に変化する理由も知ることができます。

まずオーク樽の内側を焦がすと、そこに炭化層とトースト層が作られます。
焦がされたことでまず表面が炭化して炭化層ができるのですが、炭化層は空気を通しにくい性質を持っているため、その下にできるトースト層はゆっくりと低温で加熱されることになります。
ここに蒸留したウイスキーを入れると、炭化層を分解してトースト層にしみ込んでいき、トースト層の持つキャラメルのような風味がウイスキーに広がっていくのです。

もうひとつ、ホワイト・オークにはタンニンやリグニン、ポリフェノールといった成分があり、これが溶け出すことで深い味や香りが生まれます。

実はホワイト・オークがワイン樽として使われるのは、ここに理由があります。
このうちリグニンは時間をかけて分解されることでバニリンという物質に変化しますが、オーク樽を焦がしたことでリグニンが分解され、本来必要な時間をかけることなくバニリンが溶けだしやすくなるのです。
このバニリンは名前からもわかるように、バニラの香りの主成分で、バーボンに甘い風味を与えてくれるのです。また、焦がし加減によっても風味が変わるため、より強い風味になるようにアリゲーターと呼ばれる強い焼き方をするバーボンがほとんどです。

面白いことに、こうしてバーボンを作るために焦がされた樽は、バーボン熟成に使われた後でスコットランドに渡り、スコッチウイスキーの熟成用として使用されているのです。
全く違う味わいを持つ2種類のウイスキーの、意外な接点でもあります。

おすすめのバーボンウイスキー10選

バーボンを人にすすめるのは、正直難しいものです。
その人の嗜好がわからないのでは、もしかしたらスコッチの方が気に入るかもしれないと考えても不思議ではありません。

今回は、数あるバーボンの中からあえておすすめの10種類を選んでみました。
もしこれからバーボンを勉強したいとか、違うバーボンを飲みたいと思うのでしたら、参考にしてみてください。

フォア・ローゼス

ラベルの中央に描かれた深紅の4輪のバラが印象的な、目を引くボトルです。
フォア・ローゼズの創始者であるポール・ジョーンズJr.のプロポーズに対し、「プロポーズをお受けするなら、バラのコサージュをつけてきます」と答えた彼女がドレスの胸元に付けてきたのが、この4輪のバラと言われています。
禁酒法の時代を生き抜いて130年を超える歴史を持つこのバーボンは、度数も40度でストレートでもスムーズで飲みやすく、世界中で愛されている1本です。
ブラック、プラチナ、シングルバレルと種類も増えましたが、やはりスタンダードが安心なブランドです。

[itemlink post_id="4165"]

I.W.ハーパー

ラベルに描かれているメダルは、数々の博覧会で受賞してきたゴールドメダルを表しています。
そのイメージに合致するようにラベル自体のカラーもゴールドが強く、スマートな見た目です。
味もフォア・ローゼスなどと比較するとすっきりしていて炭酸が合うため、一時期日本ではI.W.ハーパーのソーダ割りをハーパーソーダと呼んでいました。
ちなみにI.W.ハーパーというブランド名は、創始者であるドイツ系アメリカ人のアイザック・ウォルフ・バーンハイムのイニシャルI.W.と、彼の親友であったフランク・ハーパーから付けられたという珍しいものです。

[itemlink post_id="4166"]

アーリー・タイムズ

口当たりが軽いためとても飲みやすく、初心者にも勧めやすいバーボンです。
バーボンでありながらシェリーのような甘さとバニラのような香りがあり、すっと口に入ってくる滑らかさを持っています。
アーリー・タイムズの名は、最初に蒸留されたアーリー・タイムズ・ステーションという村の名前から取られたものです。
現在はルイヴィルのダウンタウン蒸溜製造所で造られていますが、アメリカ国内で販売されているアーリー・タイムズは再利用のオーク樽で熟成したウイスキーが20%を占めるため、バーボンではなくケンタッキー・ウイスキーとラベルに表示されています。
しかし輸出用は焦がしオークの新樽で熟成させているため、バーボンと銘打っています。

[itemlink post_id="4167"]

ワイルド・ターキー

バーボンをよく知らない人でも名前は知っている、それほどに有名なバーボンです。
スタンダードは40度ですが、8年、12年は50.5度と高めに造られているため、どっしりととても飲みごたえのあるバーボンです。
これはトウモロコシ使用量が低く、その分ライ麦と大麦麦芽を多く使っているためフレーバーが強くなり、しかも60度から65度と低い度数で蒸留されているため加水を少なくすることで原酒に近い味わいを保っていることによります。
その名の通りラベルには七面鳥が描かれていますが、当時の社長がこの50.5度のバーボンを七面鳥ハンティングの仲間にふるまったところ、仲間の一人が名付けたと言われています。

[itemlink post_id="4168"]

オールド・グランダッド

スタンダードな40度もありますが、オールド・グランダッドと言えば57度の「OLD GRAND DAD 114」が人気です。
「114」はプルーフといってアメリカなどで使われている度数の単位で、国ごとに違いはあるもののざっくりと分かりやすく「1/2にすれば日本の度数」と憶えておくと便利です。

他のバーボンに比べて若干色が濃くバニラの香りも強めで、57度と聞くとまず「強そう」と感じますが、口当たりはとても滑らかで滑らかな飲み口と香りがとてもよいバーボンです。
孫が創業者である祖父を讃えて名付けたバーボンですが、日本人は父親を表す英語として「father」と習いますが、これはかしこまった言い方で、アメリカでは一般的に「dad」を使います。

グランダッドは「grand dad」、つまり「おじいちゃん」とか「じいさん」といった親しみのある言い方で、さらに「old」がついていることで「偉大な」といったニュアンスが追加されますので、「偉大なおじいちゃん」ということになるのです。
是非一度と言わず、何度でも楽しみたい1本です。

[itemlink post_id="4169"]

ブッカーズ

加水や濾過を一切していないため、63%と高いアルコール度数のバーボンではありますが、香りと味のバランスがとてもよく、人気の高い1本です。
特にブッカーズは世界初のクラフトバーボンと呼ばれていますが、クラフトバーボンとは、厳選した最上級の原料で、仕込み、蒸溜、貯蔵まで全て製造者の思想が反映されたバーボンで、且つ、小ロットで生産数量が限定されたバーボンを指します。

ブッカーズを造ったのは「ジムビーム」で有名なビーム家の6代目ブッカー・ノウで、元々は身内だけで楽しむために造ったバーボンの評判があまりによかったため商品化されたものです。
彼のこだわりは、禁酒法以前の度数が50度以上あった頃の力強いバーボンを造ることでした。
そのため、原料のライ麦を通常の倍使うなどして造られたのがブッカーズです。
一度生産終了しましたが2019年に販売を再開し、以前に造られたものは価格が高騰していますが最近のものはまだ安価で購入可能ですので、是非一度試したいバーボンです。

[itemlink post_id="2792"]

ブラントン

ブラントンと言えば、バーボンらしからぬ丸いボトルとケンタッキーダービーのサラブレッドのボトルキャップで有名なバーボンです。
芳醇で濃密な味わいを持つこのバーボンは、8年熟成したシングルバレルからボトリングされ、ラベル1枚1枚が手書きという特徴があります。
ラベルにはボトルの登録番号、樽番号、度数、倉庫の何段目で貯蔵されていたかと言った情報が手書きされていて、自分が飲んでいるボトルがどこから来たかを明確に確認しながら飲むことができます。
ちなみにボトルキャップのサラブレッドは少しずつ形の違うものが8種類あり、全部並べるとサラブレッドが走っているように見えますので、もし手に入れば試してみてください。
ただでさえおいしいバーボンが、さらにおいしく味わえるはずです。

[itemlink post_id="4170"]

メーカーズ・マーク

ボトルトップの真っ赤な封蝋で有名なのが、クラフトバーボンでもあるメーカーズ・マークです。
ふくらみのある独特の柔らかい口当たりでも有名ですが、一般的にバーボンの原料に使われるライ麦ではなく冬小麦を使っていることがその理由です。
原料の大半はトウモロコシで冬小麦はわずか16%に過ぎませんが、高い品質の冬小麦を使って絶妙な配合を行うことで、メーカーズ・マークの味は守られているのです。
メーカーズ・マーク蒸溜所には、「例えもっと早く造れたとしても、私たちはそうしない」という昔から伝わる言葉があります。
1本1本を丁寧に手作業で造ることを大切にしているため、ボトルトップの封蝋も手作業で行われています。
そのためボトルによって微妙に形が違いますが、これは6代目の妻であるマージーがかつてキッチンで行っていたやり方を今も継承しているからなのです。
日本でも人気の高いバーボンですので、見かけたら飲んでみることをお勧めします。

[itemlink post_id="4171"]

エライジャ・クレイグ

バーボンの父として知られているエライジャ・クレイグ牧師にちなんで名づけられたバーボンで、企画から製造まで25年かけたというこだわりの1本です。
とても濃い茶色で、濃厚な香りと熟成感が満足を与えてくれるため、多くのファンから愛されているバーボンでもあります。
1986年に12年熟成を発売してからこだわりを貫いていましたが、原酒が不足したことで原酒コントロールを行い、生産量を減らしたスモールバッチも販売されています。
スモールバッチは8年から12年の原酒がブレンドされているため年数表記はなく、この発売はファンに大きな衝撃をもたらしました。
そのため、以前の12年物を求めるファンが急増し、高騰の原因にもなっています。
まずはスモールバッチを試してみて、運がよければ12年も味わってみてください。

[itemlink post_id="2370"]

ヘンリー・マッケンナ

故郷であるアイルランドの蒸溜所で働いていたヘンリー・マッケンナがケンタッキーに渡って造ったのが、幻のウイスキー、ヘンリー・マッケンナです。
深いコクと芳醇な香りと風味を持つこのバーボンは、ほとんどの工程を手造りで行っているため「オールドファッションド・ハンドメイド・ウイスキー」と呼ばれていますが、当初は一日で1樽にもなりませんでした。
それでも質の低下を嫌った彼のバーボンは評判になり、手に入りにくいことから幻のバーボンと呼ばれるようになったのです。
近代設備の今でも、それは変わらず伝統に忠実に造られていたのですが、残念なことに2022年10月に出荷停止となりました。
それでもまだ市場には出回っていますので、手に入らなくならないうちに試しておきたい1本です。

[itemlink post_id="4172"]

さいごに

よく「おすすめ」という言葉を耳にしますが、そもそも嗜好品であるウイスキーをおすすめされて、果たしてそれが本当におすすめなのかという疑問があります。
もしそんな疑問を抱いたときは、「一日の長」という言葉を思い出してください。
ほんの少しだけ知識や経験が優っていることを指す言葉ですが、自分よりも多くのバーボンを飲んでいる人が勧めてくれたのであれば、まずは何も考えずに飲んでみましょう。
その人が勧めてくれた理由が必ずあるはずですし、もし単純に自慢がしたいだけの人だったとしても、逆にそういう人は下手なものは勧めてきませんので、気にせずに飲んでみましょう。

バーボンは、紛れもなく嗜好品です。今日飲んだバーボンがおいしいと思うこともあれば、この前飲んだバーボンの方がおいしかったと思い出すこともあります。和食を食べたい日や洋食を食べたい日があるように、「今日はフォア・ローゼスが飲みたい」と思うこともあれば、「今日はブッカーズが飲みたい」と思うこともあるはずです。
気楽に、そして楽しくバーボンを飲めることが一番だと、私は思います。
今夜もよい一杯を。

こちらの記事もどうぞ!

I.W.ハーパー12年ウイスキーが終売する?気になる評価や価格は?

ワイルドターキー8年の味や価格と種類!シリーズ9銘柄を徹底比較してみた!

バーボンウイスキーおすすめ10選!味や特徴を解説!初心者はここから

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事