突然ですが、グレンキンチーウイスキーをご存知ですか。グレンキンチーウイスキーは、一般的にはあまり知名度が高くないので、もしかしたら知っているという人は少ないかもしれません。
名前からしてなんだかクセが強そうと思うかもしれませんが、そんなことはありません。飲みやすくてウイスキー初心者におすすめのウイスキーです。
この記事を読んだあなたは、グレンキンチーウイスキーに気づくこと間違いなし!ぜひ最後までお読みください。
グレンキンチーはどんなウイスキー?
グレンキンチーは、スコットランドのローランド地方に蒸溜所があり、シングルモルトウイスキーを製造しています。
ローランド地方で造られるシングルモルトウイスキーなので「ローランドモルト」と言われたり、蒸溜所がスコットランドの首都エジンバラ近郊にあるため「エジンバラモルト」と言われたりすることも。
かつてローランド地方にあるウイスキー蒸溜所は、グレンキンチー・オーヘントッシャン・ブラドノックとわずか3ヶ所でしたが、近年の世界的なウイスキーブームの影響で現在は次々と蒸溜所が設立されています。
グレンキンチー蒸溜所の創業は1837年。もともとは農家の副業という形で蒸溜所がはじめられ、栽培していた大麦を麦芽にして自給自足でウイスキーを造っていましたが、ウイスキーとしての知名度は当時はほとんどありませんでした。
なぜならば、グレンキンチーで造られたウイスキーは主にブレンド用に使われ「ヘイグ」「ディンプル」「ジョニーウォーカー」「ザ・エピキュリアン」のキーモルトとして利用されていたからです。
グレンキンチーウイスキーがようやく世界に知られるようになったのは、1989年に当時のUD社(現在のディアジオ)がオーナーとなってからのことでした。
シングルモルトブームのきっかけにもなった、UD社が発売した「クラシックモルトシリーズ」に、グレンキンチーのウイスキーがローランドを代表するブランドとして宣伝されたのです。
グレンキンチーの名前の由来ですが「グレン」はスコットランドのゲール語で「谷・峡谷」を意味しています。スコットランドは谷や峡谷が多く、その側にウイスキー蒸溜所があることから「グレン」とつくことが多いのです。
たとえば、お馴染みのスコッチウイスキー、グレンリベットやグレンモーレンジーなどがありますよね。そして「キンチー」とはグレンキンチーの蒸溜所の近くを流れている「キンチー川」からきています。
次はグレンキンチーウイスキーの気になる味わいや、評価についてみていきます。
グレンキンチー味わいの評価とおいしい飲み方
グレンキンチーウイスキーの味わいは、全体的にライトな酒質で飲みやすいのが魅力です。おいしい飲み方は、ストレート・トワイスアップ・ハイボールです。
実際にグレンキンチーウイスキーを飲んだ人はどのような評価をしているのか、レビューをまとめました。
- ライトでクセもなくフルーティーで飲みやすい
- デリケートで上品、ピート香などのクセもなく、初心者でも飲みやすい
- スモーキーさやピート香が感じられないので、クセやコクのあるウイスキーを好む人には物足りないかも
- 熟練した舌をもつ愛好家に親しまれやすい味でもあるため、飲みやすくても美味しいとは感じないかも
クセがなく飲みやすいと高評価である反面、スモーキーさを求める人には物足りなく感じてしまうという意見もあります。そして「愛好家向けの味」という感想も気になるところですね。
ライトでフルーティー、クセのない上品な味わいのグレンキンチーウイスキーは、食後よりも食前や食中に飲むとよいでしょう。食前でしたら、ストレートやトワイスアップにして、食事と一緒に楽しむならハイボールがおすすめです。
次は、グレンキンチーウイスキーの味わいがどのようにして造り出されているのか、製造方法について解説していきます。
グレンキンチーの製法には3つの特徴がある
グレンキンチーウイスキーの製法には、主に3つの特徴があります。
- スコットランドで最大級のランタンヘッド型ポットスチル
- オレゴン松製の発酵槽(ウォッシュバック)
- 硬水の仕込み水
まず1つ目ですが「ポットスチル」はウイスキー造りには欠かせない蒸溜の工程時に使用する蒸溜器で、いろいろな形状があり、形状によってウイスキーの味わいが決まるとも言われています。
グレンキンチーで使われるランタンヘッド型のポットスチルは、軽快な味わいの原酒を造り出します。2基あるポットスチルのうち、最初の蒸溜に使われる初溜釜は30,963ℓとスコットランド内でも最大級を誇る大きさです。
そして2つ目の、オレゴン松製の発酵槽は創業当時から使われているもので、乳酸菌などの微生物が繁殖しやすいという特徴があり、独特なフルーティーな風味が生み出されます。
3つ目の「硬水の仕込み水」を使うというのは、グレンキンチーの最大の特徴です。スコットランドのほとんどのウイスキー蒸溜所では、仕込み水には軟水が使われるのですが、グレンキンチーは地元で湧き出る硬水を使っているのです。
創業当初は蒸溜所の横を流れるキンチー川の水を使用していましたが、農業汚染の問題があったので、現在は近くのラマーミュア丘陵にある泉の水を使用しています。
硬水は酵母のアルコール発酵に影響して、軽やかな飲み口や上品な甘み・ドライな味わいとなるのです。
グレンキンチーウイスキーの味わいは、このような3つの特徴的な製法から生み出されています。さて次は、グレンキンチーウイスキーにはどんな種類があるのか紹介しますね。
グレンキンチーウイスキー4選
グレンキンチーウイスキーは現在購入できる種類が少なく、主にこれから紹介する4種類になります。
グレンキンチー10年
グレンキンチー10年は残念ながらすでに終売になっているので、品薄状態となっています。価格がだいぶ上がっていますが、ネットで購入することができます。
シトラスや梨のようなフルーツの香りに、上品なバラのフローラルな香り、ほんのりとピートが感じられてスパイシーな風味のあとに甘い風味が楽しめます。
[itemlink post_id="3604"]グレンキンチー12年
グレンキンチー12年は、国内で一般的に流通しているスタンダードボトルになります。
シェリー樽をメインにヴァッティング(モルトウイスキー同士を混ぜること)。青リンゴやバナナのようなフルーティーな香りに、花のフローラルな香り。全体的に軽やかでドライな印象ですが、甘みとハーブ感やスパイシーさなどもあり、複雑な風味が楽しめます。
[itemlink post_id="3585"]グレンキンチー24年
リフィルのヨーロピアンオーク樽で24年間熟成させた後に、カスクストレングスにてボトリング。ディアジオスペシャルリリースで、世界で5928本の限定販売。
洋梨とハチミツのような甘い香りと華やかな麦芽の風味、グレンキンチー12年と比べると、甘さは控えめでよりドライな味わいが楽しめます。アルコール度数は57.2%と高めです。
[itemlink post_id="3586"]グレンキンチー ディスティラーズ エディション(ダブルマチュアード)
ディアジオ社が毎年リリースしている「ディスティラーズ エディション」シリーズです。
ダブルマチュアードは、2つの樽で熟成をさせているという意味で、後熟にはアモンティリャード・シェリー樽が使われています。
みかんの皮やりんごのような香りに、ミントのような爽やかな香りも。タルトタタンやクッキー、カラメル・シナモンのような甘く香ばしい風味。グレンキンチー12年と比べると、甘さはやや控えめでドライでスパイシーな風味が際立っているのが特徴的です。
[itemlink post_id="3588"]まとめ
グレンキンチーは、スコットランドのローランド地方に蒸溜所があり、シングルモルトウイスキーを製造しています。味わいは、全体的にライトな酒質で飲みやすいです。おいしい飲み方は、ストレート・トワイスアップ・ハイボールです。
グレンキンチーの製法には、主に3つの特徴がありますが、仕込み水に硬水を使用しているのはスコットランドでは珍しく最大の特徴です。
グレンキンチーは現在4種類ありますが、まずはスタンダードボトルであるグレンキンチー12年をおすすめします。グレンキンチーウイスキーを知らなかったという人は、ぜひ飲んでみてくださいね!