リカーショップやバーなどのウイスキーにまつわる場所で、“シングル”と言う言葉が飛び交っているのを聞いたことはありませんか?
いったいどんな意味で使われているのでしょうか?
“シングル”を使いこなせば、今よりもっとウイスキーを楽しめること間違いナシです。
それでは“シングル”の意味について一緒に学んでいきましょう!
”シングル”はウイスキーの量を示す言葉。
シングルは1杯のグラスに注がれるウイスキーの量を示す言葉で、一般的に日本のバーではシングルを約30ミリリットルで提供しているお店がほとんどです。ウイスキーをオーダーする際、特に量の指定をしなければストレートでもロックでも水割りでも、約30ミリリットルのウイスキーが提供されると考えれば良いでしょう。
しかし、国が変われば”シングル”の量は異なってきます。
アメリカでは、約30ミリリットルまたは約45ミリリットル。
イギリスでは、約25ミリリットルまたは約35ミリリットル。
スコットランドでは、約60ミリリットル。
アイルランドでは、約75ミリリットル。
というように、提供されるお酒の量にもお国柄が出るんですね。
海外旅行の際にはご注意を(笑)!
ちなみに、イギリスではウイスキーをお店で提供する際の量が法律で定められており、25ミリリットル(及びその倍数)もしくは35ミリリットル(及びその倍数)のどちらかの規定量をお店が選択しなければならないそうですよ。
ウイスキーの量を示す言葉は他にもあります。
”シングル”以外にもウイスキーの量を表す言葉は色々あります。
ダブル(double)はシングルの2杯分。つまり日本では30ミリリットル×2杯分なので、約60ミリリットルですね。
ジガ―(jigger)はアメリカとイギリスで使われる単位で、それぞれ規定量が異なります。アメリカでは、1ジガー=45ミリリットル。 イギリスでは、1ジガー=60ミリリットルです。
オンス(ounce)はアメリカとイギリスで用いられる単位。1オンス=30ミリリットルです。
ダッシュ(dash)はカクテルを作る際に用いる単位です。ビターズボトルに入った液体を一振りした際に出てくる量。約1ミリリットル。
ショット(shot)は元々アメリカで使われていた表現で、強いお酒を弾丸になぞらえて、”一杯(一発)引っ掛ける”事を示す言葉です。日本のバーでは、1ショットはシングルと同じ意味で用いられる場合が多いので、1ショット=約30ミリリットルと考えれば良いでしょう。
いわゆる”ショットバー”と呼ばれるお店は、お酒を1杯ずつ提供しているお店として、酒屋と区別するための名称なんですね。
“シングルモルトウイスキー”ってどんなウイスキー?
ウイスキーの世界での”シングル”にはもう1つ意味があります。
それが“シングルモルトウイスキー”です。
・大麦麦芽(モルト)のみを原料に作られたウイスキーであること
・単一の蒸留所で作られたウイスキーであること
この2つの条件を満たしたウイスキーはシングルモルトウイスキーと呼ばれます。
スコットランド産ウイスキー(いわゆるスコッチウイスキー)がシングルモルトウイスキーの本場であり、銘柄によって驚くほど様々な個性を持っています。その尖った個性こそが、世界中のウイスキー愛好家を魅了して止まないのです。シングルモルトウイスキーを味わう事こそが、ウイスキーの世界を旅する事の真髄といっても過言では無いでしょう。
また、”ジャパニーズウイスキーはスコッチをお手本にして造られた”という歴史的背景から、日本でも山崎、余市、厚岸などの数々の素晴らしいシングルモルトウイスキーが製造されています。
シングルモルトウイスキー以外には、下記のような種類のウイスキーがあります。
ブレンデッドウイスキー
ブレンダーと呼ばれる職人が 、モルトウイスキーの原酒とグレーンウイスキーの原酒をブレンドしてつくったウイスキーです。 味わいの軸となるモルトウイスキーと、それを補助するグレーンウイスキーの異なる個性を掛け合わして理想の味を生み出します。シングルモルトウイスキーに比べて、味や香りのバランスが重視され、初心者にも飲みやすい銘柄が多いのが特徴です。
代表的な銘柄・バランタイン(スコットランド)、響(日本)等
ピュアモルトウイスキー
大麦麦芽(モルト)のみを原料に造られ、複数の蒸留所の原酒を混ぜ合わせ(これをヴァッティングといいます)て造られたウイスキーです。単一蒸留所の原酒のみで造られるシングルモルトウイスキーと区別するための呼称です。
発売元の個性や主張が色濃く反映される種類のウイスキーです。
代表的な銘柄・竹鶴(日本)富士御殿場蒸溜所ピュアモルトウイスキー(日本)等
グレーンウイスキー
コーン、ライ麦、小麦などの穀類を主原料として造られたウイスキー。クセが少なく、スムーズで飲みやすい一方、没個性的であると言われることもあります。
代表的な銘柄・知多(日本)、キャメロンブリッジ (スコットランド)
コーンウイスキー
トウモロコシを原料の80%以上使用したウイスキーです。アメリカがコーンウイスキーの本場で、ほのかな甘みとメロウな香りでファンが多く、ウイスキー初心者や女性にもおすすめです。
代表的な銘柄・IWハーパー(アメリカ)、プラットバレー(アメリカ)等
まとめ:2つの意味の“シングル”を使い分けて、ウイスキーを楽しもう!
今回は2つの“シングルについてご紹介してきました。
1. ウイスキーの量を示す言葉であり、日本のバーでは約30ミリリットルが一般的。
2. 大麦麦芽(モルト)のみを原料に作られ、単一の蒸留所で作られたウイスキーはシングルモルトウイスキーと呼ばれ、世界中で愛されている。
おしゃれなバーで「ピートの効いたウイスキーのロックをシングルで」、 「アイラのシングルモルトウイスキーをストレートで」って感じでカッコいいオーダーをしてみてはどうでしょうか!
ウイスキーを楽しむのに、特にかっこつける必要はありません、気軽に楽しんだもの勝ちです。自分の好きなウイスキー、気になったウイスキーを好きな飲み方で楽しんじゃいましょう!
“ピート”? “アイラ”? 少しでも気になった方は、ぜひBAR10で調べてみて下さいね。知識が深まると、ウイスキーはより味わい深くなるものです。
知識豊富なバーテンダーさんとの会話とともにグラスを傾ける。そんな時間もウイスキーとの素敵な関係ですよね。
それでは今回はここまでです。
みなさま、ごきげんよう!!