今回のテーマは樽!!
- ウイスキーの樽の種類
- ウッドフィニッシュで味と香りが変化
などなど、ウイスキーの樽の種類や樽がもたらす味や香りの特徴をご紹介します。
さらに、それぞれの樽を使用した代表的な銘柄もご紹介しちゃいますよ!!
樽の種類を知ることでウイスキーにもっと興味が湧いてくること間違いナシです。
それでは始めましょう!
ウイスキーの樽の種類
ウイスキー造りに使用される樽にはさまざまな素材の樽があります。
ここでは樽材の違いや、その樽を用いて造られるウイスキーのご紹介をしていきましょう。
初めはいちばん多く使用されているアメリカンホワイトオークからのご紹介です。
アメリカンホワイトオーク
アメリカンホワイトオークは北米に育つブナ科の広葉樹です。
バーボンはホワイトオークの新樽で熟成することが決められているため、すべてのバーボンにホワイトオーク樽が使用されています。
漏れが少なく、非常に優れた素材であることからシェリー樽やワイン樽にも用いられています。
バニラやココナッツなどの甘みのある香味をもたらすことが特徴です。
バーボンを造った後の樽を「バーボン樽」としてスコッチや他のウイスキーに再利用されることも多いですが、アメリカンホワイトオークといえばバーボンということで、ここではバーボンからおすすめの銘柄をご紹介しましょう。
アーリータイムズ
スタンダードなイエローラベルです。
軽い酒質で初心者の方におすすめの銘柄になります。
数あるバーボンの中でこのボトルを選んだのは、ただ私が初めて口にしたバーボンがこれだったからというだけの理由です。
お酒が飲める年になったばかりの私がこのボトルでバーボンを知ることになりました。
当時はバニラの香りやスパイシーさなどというホワイトオークらしい特徴など感じることもなく優しい口当たりや飲みやすさが気に入って飲んでいましたね(笑)
アルコール度数も40度と低めで価格も700mlで1,000円台とお手頃ですし、コンビニではミニボトルでも見かけることもある手に入りやすい銘柄ですので、よろしかったら一度お試しください。
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次はスパニッシュオークのご紹介です。
スパニッシュオーク
写真はスパニッシュオークの葉です。
スパニッシュオークは主にスペイン北部のガリシア地方で伐採される木材です。
シェリー樽といえばこのスパニッシュオーク材というイメージがありますが、実際はシェリー樽の多くはホワイトオーク材が使用されています。
しかし、スパニッシュオークのもたらす濃い色味や、タンニンの含有量が多いために現れるコーヒーやダークチョコのような苦味、ドライフルーツのような香りなどの特徴はウイスキーを造る上でとても魅力的な要素があるためにザ・マッカランなどの蒸溜所が好んでスパニッシュオーク材のシェリー樽を使用しています。
ただ近年は樽不足でもあり、自社で樽造りから手がけているザ・マッカランでもスパニッシュオーク材の樽は不足しており、一部銘柄ではホワイトオーク材の樽を使用しています。
日本でもサントリーがスパニッシュオーク材の樽を使用していますね。
ここではスパニッシュオーク材のシェリー樽にこだわったザ・マッカラン12年をご紹介しましょう。
ザ・マッカラン12年
シングルモルトのロールスロイスとも称されるザ・マッカランのスタンダードボトルです。
厳選された樽を使用し、スパニッシュオーク材のシェリー樽独特のドライフルーツを思わせる芳醇な香りを身につけた色味の美しい豊かな味わいのウイスキーになっています。
アルコール度数も40度と高くはなく、華やかで高級感のある味わいの割には口当たりもよく飲みやすいシングルモルトで、価格もネット価格で6,000円台と比較的お手頃です。
初心者の方にも、そうでない方にもおすすめできる人気のボトルですので、まだお試しになっていない方には是非味わっていただきたい銘柄ですね。
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次はフレンチオークをご紹介しましょう。
フレンチオーク
フランス産の主にヨーロッパナラという木材を指すことが多いです。
先のスパニッシュオークと並んでヨーロピアンオークの2大オークの一端を担っています。
フレンチオークは高級ワイン樽として使用されることも多く大変高価な素材ですが、スコッチやジャパニーズウイスキーを造る際にも使われています。
タンニンを多く含み、スパイシーな香りやバニラの香りをもたらすのが特徴です。
フレンチオーク樽を使用したウイスキーも多く存在しますが、その中でも今回はザ・グレンリベット15年フレンチオークリザーブをご紹介致しましょう。
ザ・グレンリベット15年フレンチオークリザーブ
通常のザ・グレンリベットと同じバーボン樽熟成原酒、シェリー樽熟成原酒にフランスのリムーザン産オークの新樽で熟成した原酒を合わせた香り高くクリーミーなシングルモルトウイスキーです。
実はウイスキー造りにフレンチオーク樽を初めて使用したのがこのザ・グレンリベット蒸溜所なのです。
フレンチオーク樽を使用する利点はフレンチオーク材は密度が低いために原酒が深く樽材に浸透し、フレンチオークの持ち味を引き出しやすいという点にあります。
このボトルでも適度なスパイシーさを持たせ、バターのような濃厚なクリーミーさをもたらす効果を担っています。
アルコール度数40度、700mlで5,000円台という価格も魅力的ですね。
是非、通常のザ・グレンリベットとは一味違ったクリーミーな味わいを楽しんでみてください。
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次はミズナラのご紹介です。
ミズナラ(ジャパニーズオーク)
日本産のナラの木のことですが、水分が多く含まれているのでミズナラと呼ばれています。
サントリーが初めてミズナラ樽を使用したことでジャパニーズウイスキーを中心に人気になりました。
樽の成分がにじみ出てくるまでに時間を要するので、樽の持ち味を生かすには長期の熟成が必要だと言われています。
ミズナラ樽熟成の原酒は伽羅や白檀のような香りをもたらすため、外国人からは日本的なオリエンタルなイメージと捉えられ人気のようです。
伽羅や白檀と言うとカッコいいですが、わかりやすく言うとお線香のような香りです。
このミズナラ材は希少で高価なものなので大変贅沢な素材でもあります。
このミズナラ樽で熟成されたウイスキーとしてイチローズモルトミズナラウッドリザーブをご紹介しましょう。
イチローズモルト ミズナラウッドリザーブ
世界的にも人気の高いリーフシリーズからの1本です。
ピートの効いた原酒を使用していることもありしっかりとピートも感じられますが、フルーティーさやスパイシーさなども感じられる複雑な味わいでボディ感もしっかりしています。
オリエンタルな樽香もしっかりと感じることができますよ。
アルコール度数は46度と少し高めですが、できればロックなどで飲んだ方が味の深みが感じられると思います。
品薄のためお値段は700mlで15,000円以上ほどと高くつきますが、飲み応えのある1本ですよ。
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それでは次はウッドフィニッシュで変化を付けたウイスキーのご紹介を致しましょう。
ウッドフィニッシュで味と香りが変化
ウッドフィニッシュとは熟成した原酒をさまざまな樽に詰め替えて原酒の味や香りに変化を付けることで「追熟」や「後熟」とも呼ばれています。
使用される樽は一度別のお酒を入れた樽が使われていて、原酒を見事に変身させることに成功しています。
ここでは使用する樽の種類別にどのようなものがあるのかを見ていきましょう。
まずはお馴染みのシェリー樽からです。
シェリー樽
シェリーはスペインの酒精強化ワインで「シェリー酒」とも呼ばれています。
このシェリー樽は後熟のみに使用されるわけではなく、先ほどご紹介したザ・マッカランのように初めから使われることもよくあります。
シェリー樽を使用することでレーズンやアンズ、ドライフルーツなどの風味付けをする効果などが期待できるわけですが、ひとことでシェリー樽と言ってもシェリーにも色々あり、どんなシェリーの熟成に使われていたのかということや樽の素材によっても効果が違うので一概にこうなると決め付けられるものでもありません。
例えばアメリカンホワイトオーク樽ではバニラの風味やクリーミーさが加わったり、スパニッシュオーク樽ではチョコレートの風味やスパイシーさが加味されたりします。
シェリー好きの私としてはここでシェリーを語りたいところですが、ウイスキーを知りたい方にシェリーのうんちくを長々と語るのも何ですし、そろそろシェリー樽で後熟したウイスキーのご紹介を致しましょう。
ボウモア15年シェリーカスクフィニッシュ
ボウモア15年ダーケストの後継品としてリリースされたボトルです。
私個人としましてはダーケストよりこちらのボトルの方がバランスが良く、美味しいと感じました。
ボウモアのスタンダードボトルよりこちらの方が好きなくらいです。
オロロソというシェリーの樽で後熟されており、甘くフルーティーなシェリー樽ならではの芳醇さとピートや塩の感じが絶妙にマッチしています。
アルコール度数43度、700mlで6,000円台で手に入ります。
ちょっと甘美なアイラの女王を是非お楽しみください。
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次はワイン樽のご紹介です。
ワイン樽
こちらは酒精強化ワインではなく、普通に(普通って何だ?)ワインと呼ばれているワインの熟成に使用された樽のことです。
イタリアのバローロ、アマローネといったワインやフランスのバーガンディ、ソーテルヌの樽などが使われています。
いずれも香り高い高級ワインの樽が使用されていて、ウイスキーに美しい色彩を与え、芳醇な香りももたらせてくれるのです。
タンニンが多く含まれているものが多いので若干の渋みも感じられるでしょう。
ワイン樽を使用したウイスキーはアランのアマローネカスクフィニッシュをご紹介しましょう。
アランは樽の使い方が非常に上手でいろんな樽を使い分けていますが、アマローネはイタリアワインの中でもとても希少な超高級ワインなのですよ!これを見つけた時は即買いしてしまった程です。
アラン アマローネカスクフィニッシュ
桃やはちみつのような甘い香りにアマローネのベリーのような香り、アーモンドのような香ばしさもあり、アンズのようなフルーティーさにダークチョコのようなビターさも感じる味わいは私にはどストライクなボトルでした。
アルコール度数50度と高めですが飲みやすかったです。
お値段も700mlで6,000円台と程よい感じですね。
アランは大好きでよく飲みますが、その中でもこれはハマりました。
みなさまもよろしかったらお試しください。
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次はビール樽のご紹介です。
ビール樽
ビール樽とは珍しいと思う方も多いでしょう。
最近、ちょくちょく見かけるようになりました。
イチローズモルトさんもビール樽熟成のウイスキーを造っていらっしゃったと思います。
よく見かけるのはスタウトという色が濃くて香りの強いタイプのビールが入っていた樽を使ったものですね。
ナッツやカラメルなどの香ばしい香りやコーヒーやチョコレートのような香りがするのも特徴のひとつです。
ホップの味わいも感じられるのでビール好きの方にもおすすめしたいですね。
ビール樽を使ったウイスキーといえばジェムソンカスクメイツが有名なのではないでしょうか?ご紹介致しましょう!
ジェムソンカスクメイツ
ジェムソンカスクメイツはスタウトの樽で後熟させたウイスキーです。
青リンゴや洋ナシのさわやかなフルーティーな香りとチョコレートやホップの味わいが楽しめます。
アルコール度数40度、700mlで2,500円前後とお求めやすい価格ですのでビール樽に興味のある方にはおすすめのボトルです。
アイリッシュのなめらかな口当たりのウイスキーに加味されたビールのテイストをお楽しみください。
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はラム樽のご紹介ですよ!
ラム樽
ラムはラム酒とも呼ばれ、サトウキビの廃糖蜜や絞り汁を原料として造られたお酒です。
香りが良く、甘い蒸留酒でお料理やお菓子作りなどにもよく使われるお酒ですね。
そんな美味しいお酒を熟成した樽をウイスキーに使わない手はないということでラム樽もウイスキーの熟成に使われています。
逆にウイスキーを熟成した樽でラムを熟成したりもされています。
お酒好きの考えることはみんな同じなんですねー。
いろいろやってみたい、違う種類のお酒とのマリアージュを試してみたいっていう。
ラムはかなり甘みの強いお酒で、カラメルのようなビターさや香ばしさもあります。
濃厚なのでラム樽がウイスキーに与える影響はけっこう大きいと考えられますね。
それではラム樽を使ったウイスキーはバルヴェニーカリビアンカスクをご紹介致しましょう!
バルヴェニー14年カリビアンカスク
このボトルはバーボン樽で熟成した後にカリビアンラム樽で後熟させています。
まろやかな口当たりでフルーティな香り、コクのある味わいで熟成感も感じられる満足感の高いウイスキーです。
アルコール度数43度、700mlで8,000円台くらいとお安いとは言えませんが、おすすめのボトルです。
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その他にもいろいろな樽を使ったウイスキーがありますのでもう少しご紹介しましょう。
その他
初めにご紹介したシェリーと同じ酒精強化ワインにはポルトガルのポートワインやマデイラワインなどがあり、これらの樽もウイスキーの熟成に使用されています。
他にはコニャックやカルヴァドスなどの樽も使われていて、これらの樽もウイスキーに華やかな香りをもたらすことができます。
ここではカルヴァドスの樽を使ったウイスキーをご紹介してみましょう。
グレンダロッホ シングルカスクカルヴァドスXOフィニッシュ
アメリカンホワイトオークで熟成後、フレンチオークのカルヴァドスXOの樽で後熟させています。
ホワイトオーク由来のバニラの香りにカルヴァドスの華やかな香りが加わり、完熟リンゴや洋ナシのようなフルーティーさとスパイシーさも感じられる味わいになっています。
アルコール度数42度、700mlで4,000円台で手に入ります。
香り高くさわやかなこのボトルも是非試していただきたい1本ですね。
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それではそろそろまとめに入りたいと思います!
まとめ
今回は樽がウイスキーの味や香りの方向性を決める重要な役割を果たすことをお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
樽を替えて香りや味わいに変化をつけたりと生産者がいろいろ考えて美味しいウイスキーを造ろうと努力していらっしゃることがわかりますね。
美味しいウイスキーが飲みたい私たちにはとても嬉しいことです。
さて、まとめますよ。
- ウイスキーの熟成に使う樽にはアメリカンホワイトオーク、スパニッシュオーク、フレンチオーク、ミズナラなどの素材があり、素材によってウイスキーにもたらす味や香りの要素が異なる
- 熟成したウイスキーの樽を途中で替えることによって味や香りに変化を付けることもできる
- 途中で替える樽はいろいろなワイン類やビール、ラムなどウイスキーとは別の酒を熟成させた樽を使うことでウイスキー以外の味や香りの要素を加味している
以上ですね。
長い年月を樽の中で過ごすウイスキーは樽からいろいろな影響を受け育っていくのですね。
樽の中で過ごした時間を共有するようにこれからもウイスキーと向き合っていきたいと思います。
それでは今回はここまでです。
みなさま、ごきげんよう!!